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成人の心臓は、重さにして400〜500g、こぶし大程度の大きさであるが、健康な成人の安静時で毎分およそ5リットル、一日あたり7000リットルの血液を水道の蛇口から出る水の6〜8倍の圧力で、心臓から身体のすみずみまで送り出す。このようなコンパクトで高性能の心臓を養うため、心臓にカンムリをかぶせたように取り巻いている冠状動脈に、必要量(心臓が送り出す血液の5%)の血液が流れなければならない。この冠状動脈がけいれんしたり、動脈硬化のために血管が細くなり、一時的に血液の流れがとだえると、心筋が酸素不足になり狭心症となる。さらに動脈硬化が進んで血液の流れがとだえると心筋硬塞となり、とだえたさきの心筋は壊死を起こし、死に至ることも多い。その代表的な症状は、どちらも心臓部の発作的な痛みであるが、三十分以上続く場合は心筋硬塞である。
東洋医学では、このような場合、“オ血=おけつ”(ふるい血、血流停滞)及び“気”(全身の生理機能、血液循環、神経活動などを推進するもの)の乱れという概念で病態を認識して、漢方薬や鍼灸での処方を組み立てる。
漢方薬療法では、体力が中等度で呼吸困難、胸背部に痛みのある人には、カ萋薤自白酒湯(かろうがいはくはくしゅとう)またはカ妻薤白半夏湯(かろうがいはくはんげとう)を用い、体力がなく胃腸が弱い人でみぞおちが痛んだり、狭心症の発作をおこす人には人参湯(にんじんとう)を用いる。又、器質的病変がみられず、神経機能が不安定で、心悸亢進や心臓部の痛み、呼吸困難などの症状のある人には柴胡竜骨牡蛎湯(さいこりゅうこつぼれいとう)や半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などを用いる。
鍼灸療法の場合、A一心兪(しんゆ)、B−ダン中(だんちゅう)、C−内関(ないかん)、D−陰陵泉(いんりょうせん)などを用い、場合によっては他のつぼも使い分ける。
薬草療法では、古来よりクワの葉をお茶がわりに飲むとよいといわれている。
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