|
一般に腰から太ももの裏側やふくらはぎにかけて走る痛みを坐骨神経痛と呼んでいるが、時には腰、腰の上部、太もも、ふくらはぎが単独で痛むこともある。原因はさまざまで腰椎の疾患や糖尿病、妊娠、アルコール中毒などの全身的な疾患でもおこるが、その大方は椎間板ヘルニアである。椎間板は、字の通り椎骨と椎骨の間にあって骨を結びつけている弾力性のある軟骨である、そのまん中あたりに髄核というゼラチン状の可動性をもった弾力体がある。中腰で重い物を持ち挙げたり、軽いものでも不自然な姿勢で持ったりするとギクッと痛みが出たり、前かがみの悪い姿勢で仕事をする人や家庭の主婦が知らず知らずに腰椎を痛め、この髄核が軟骨をやぶり脊柱管の中へはみ出してヘルニアがおこる。
これは脊柱管の中で腫れあがった神経根が骨や靭帯で圧迫されてひどく痛むためで、炎症がとれると楽になる。
体質重視の東洋医学では病名や原因でなく症状を重く見て、急に痛みだした場合、おなかの腹直筋に触れて強く緊張していれば、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を用いる。もしこの時、足が冷えるという症状があれば、芍薬甘草附子湯(しゃくやくかんぞうぶしとう)にする。腹直筋が緊張しないで汗をかき、足が冷えるなら、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつふとう)である。また除々に痛んできた腰痛で体力がなく冷えて重いものには苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)を用い、腰から下がだるくて夜間に排尿回数が多いのは八昧地黄丸(はちみじおうがん)を用い、月経障害のある場合は佳枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と、その薬方は多岐にわたる。
鍼灸療法では、基本的に腎兪(じんゆ=図A)、大腸兪(だいちょうゆ=図B)、志室(ししつ=図C)、委中(いちゅう=D)などを用いる。急性の痛みの場合、鍼も浅く、灸も小さなもので体表を充血させ、深部の炎症の熱を体表にもち挙げ熱の逃げ道をつくり炎症をおさえる。慢性の痛みの場合、鍼も深く、灸も比較的に大きくなり、深部の血行を高めて痛みを取り除く。
西洋の薬草療法では、キャベツのきれいで大きな丸い葉をすべすべになるまでアイロンにかけ患部に貼り、日に2回ぐらい取りかえるとよいといわれている。
|